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有機合成化学第二研究室(杉本研)

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生命の基礎に学ぶ有機機能性分子の開発
私たちの研究室では特別な働きをする有機分子を作っています。実生活で役に立つ製品の基盤となる原料物質や、それらを作るために用いる道具(化学反応の触媒)などです。お手本は生体内の化学反応です。いずれも、自分で設計図を書いて、自分の手で作って、さらに改良して、と試行錯誤を繰り返しながらより良いものを生み出せるように努力しています。パズルを解くように、模型を組み立てるように、楽しみながら研究を続けています。

● 生物を超える化学 ●

 個々ばらばらでは限られた性質・機能しか持たない官能基や分子であっても、共有結合や相互作用(静電的相互作用、水素結合、配位結合)などにより複数個が集まり、空間的な位置関係が特定の条件を充たすと、まったく新しい性能を発揮する場合がある。その例は生体内の酵素などによく見られる。これを人工的に再現しさらに発展させることにより、より良い触媒の設計や生体機能の解明が期待される。
 ところで、生体内において物質の生物活性を決めるのは、その分子の持つ「不斉炭素」に起因する分子の立体構造であることが多い。しかしながらそのことは、天然物に匹敵する機能を有する人工分子を合成するには、その不斉源をアミノ酸や糖に頼らざるを得ないことを意味している。
 そこで、本研究室では、まったく新しい概念に基づく光学活性機能性分子(人工酵素や超分子複合体)を設計し、それを利用した不斉分子認識・不斉合成をめざしている。

● 生命現象を人工的に再現する化学 ●

有機化合物の起源は生物の体内である。そこでは酵素が様々な化合物から生命活動に必要な化合物だけを誤りなく選択し、さらに必要な化合物だけを高選択的かつ高収率で生産している。例えば、生物活性を有する物質には「右」と「左」の関係にある異性体(鏡像異性体)が存在する場合が多い。
 生体内においては酵素などは生物活性物質の左右を見分けることによって、その生体にとって有益な物質であるのか、あるいは異物・毒であるのかを識別している。また、酵素が生化学反応の触媒として働く際には左右のある生物活性物質の欲しい異性体だけを高選択的かつ高収率で合成する。
 このような酵素の機能を人工分子を用いて再現することができれば、生体内における酵素の作用機構の解明に繋がるだけでなく、より有用な生物活性物質の合成・分離にも役立つと期待できる。そこで本研究室では、酵素の構造を摸た新しい機能性分子を構築し、それによる分子認識・触媒反応を実現することをめざしている。

● 新しい材料を産み出す化学 ●

 高分子材料の高度化・多様化の要請に伴い、また酵素タンパク質や核酸のような生体高分子の働きがその高度に制御された構造に基づくことを考えても、構造の制御されたポリマーの合成は興味深いテーマである。すなわち、次世代を担う機能性材料や生体適合性材料を設計するためには、「いかにしてその素材となるポリマーを自在に作り出すか」、また、「作り分けられるか」、が重要となる。
 この課題に対し、本研究室では、戦略的に設計した金属錯体を触媒とする重合反応により、様々なモノマーから構造の制御されたポリマー・コポリマー、これまで合成例のない新規なポリマーを合成する方法の開拓をめざす。さらに合成したポリマーを基に新しい機能性高分子材料や生体関連高分子への応用も試みる。

● 資源を守る化学・環境に優しい化学 ●

 二酸化炭素は「地球温暖化」に関連するかもしれない物質として不要なものという印象を与えることが少なくない。しかし、二酸化炭素は植物の光合成の原料であり、これなしには人間を含め地球上のあらゆる生物の存在はあり得ない。
 一方、二酸化炭素は、自然界に豊富に存在している、安価である、毒性がない、不燃性である、などの特徴があるため、化学の分野、とりわけ、合成化学の観点から眺めてみると重要な化学原料と見なすことができる。ところがこれまで、二酸化炭素の化学的利用の例は限られており、「人工光合成」などなお多くの可能性を秘めている。
 高分子合成においては、二酸化炭素を繰り返し単位の一つとして主鎖構造に含むポリマーは、主鎖にエステル結合が導入されることが予想されるので、生分解性や酸素透過性をはじめとする種々の特性を発現するといった期待がかけられている。
そこで本研究室では、種々の遷移金属錯体によって二酸化炭素を捕捉・活性化し、この活性化された二酸化炭素と他のモノマーから有用な高分子材料を合成することを目指す。


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